【日本の男性育休制度は世界一!】世界の男性育休事情はどうなの?どうすれば日本人男性は育休をとるの?調べてみました!

妊娠・出産

皆さんこんにちは。

先日、上司に育休取得を宣言してきた31歳男性です。

私が働く部署には男性社員が約200人いるのですが、過去20年を遡っても育児休暇を取った男性社員はいないということで、私の育休宣言にマネージャが動揺していました。「男も育児をする時代だもんねぇ~」と遠い目をしていました。

「なんで男性の育休って取りにくい雰囲気があるの?」とか「なんか海外だと男性も育児休暇取りやすいんじゃなかったっけ?」と思いながら育休宣言をしてきたのですが、このイメージって本当に合っているのか知らないなと気づきました。

今回は、これから育児をしていく一人の日本人男性としてちゃんと日本の男性育休の実態を知っておいたほうが良いと思い、日本や世界の男性育休事情について調べてみました。


日本の男性育休制度について

世界的に見た日本の男性育休制度

まずは世界と比べて、日本の男性育休制度はどうなのかを調べてみました。

2016年にユニセフが高所得または中所得である41か国を対象に調査した結果を見ると、「賃金が全額支払われる男性育児休暇日数(下図の濃い方の青線)」は日本が30.4週であり、世界一になっています。

子育てしやすいと言われている北欧諸国などと比べても2倍以上の日数であり、ダントツの世界一です。

出典: ユニセフ Are the world’s richest coutries family friendly? “Paid leave reserved for fathers (2016)”
筆者
筆者

へぇ~、知らなった。

じゃあ日本は世界で一番、男性の育休制度が整っている国なんだ!

と思いました。「日本の政治家はちゃんと育児制度を整えてくれ」と思っていたのですが意外にもそれは大きな誤解だったようです。

ということで男性育児の制度としてはかなり整備されているようですが、皆さんもご存知のように日本社会の実態はそうではありません。ユニセフの調査レポートにも日本について以下の記載があります。

Japan and the Republic of Korea rank highest because of generous leave entitlements for fathers. In practice, very few fathers take this leave.

(翻訳)日本と韓国が上位にランクインしているのは、父親に対する休暇の権利が手厚いからである。実際には、この休暇を取得する父親は非常に少ない。

ユニセフ Are the world’s richest coutries family friendly? “Paid leave reserved for fathers (2016)”

Japan offers the longest entitlement to paid leave for fathers, the full-rate equivalent of 30 weeks. Only 5.14 per cent of eligible fathers took paid leave in 2017, up from 1.56 per cent in 2007. A 2017 survey indicated that 45 per cent of male employees on regular contracts with children under three did not want to take the leave. Another 35 per cent said they would like to use the paternity leave but could not do so. Those who did not take leave cited various reasons, including understaffing, ‘unfavourable atmosphere’, workload, pay loss and career impediment.

(翻訳)日本は父親の有給休暇の権利が最も長く、通算で30週間相当となっている。2017年に有給休暇を取得した有資格者の父親はわずか5.14%であり、2007年の1.56%から増加している。2017年の調査では、3歳未満の子どもを持つ正規契約の男性従業員の45%が休暇を取りたくないと回答しています。また、35%は「育児休暇を利用したいが、利用できない」と回答している。休暇を取らなかった人は、人員不足、「好ましくない雰囲気」、仕事量、給与の損失、キャリア上の障害など、さまざまな理由を挙げている。

ユニセフ Are the world’s richest coutries family friendly? “Paid leave reserved for fathers (2016)”

つまり国が定める男性育休制度としては日本は素晴らしい制度なのですが、国民の意識としてはまだまだ男性育休が根付いていないということですね。


世界の男性育休事情

では実際の取得率という意味では世界と比べてどうなのでしょうか。

以下は2015年に内閣府がおこなった調査結果をベースにして日経xwomen編集部が作成した表です。この調査では、日本、スウェーデン、フランス、イギリスの4か国の男性を対象に、男性の子育てに関する制度の希望と現実について調査しています。

少し見慣れない表かもしれませんが、例えば「希望」に対して「現実」が1%上回っていた場合は「+1.0」、1%下回っていた場合は「▲1.0」という形で表記されています。

出典: 日経xwomen 男性育休の日欧比較 「取得率」だけでは測れない

上記の表だと筆者の言いたいことは伝えにくかったので、この表をベースに各項目の取得率をカラーマップ表示いたしました。%の値が高いほど緑に、低いほど赤に色を付けています。

出典: 上記表を基に筆者が作成

これを見ると明らかですが、日本の「現実」は真っ赤ですね。こちらのデータは2015年のデータなので、最新の数字で見れば日本はもう少し良い値になっているかもしれませんが、少なくとも7年前の日本社会はこのような意識を持ってました。ほとんどの日本人男性は、育児するための制度を利用できなかったようです。


日本の育休取得率の現状と変化

世界と比べるとまだ日本社会の意識として、男性の育児休暇が根付いていないということは前述してきたとおりです。では直近の日本でこの意識は変わってきているのでしょうか。

令和3年に厚生労働省が公表した男性育休取得率は以下です。

出典: 厚生労働省 育児・介護休業法の改正について

これを見ると男性の育休取得率は13.97%でした。スウェーデンと比べるとまだまだ低い水準ですが、フランス(14.4%)やイギリス(10.5%)と比べると同じような水準にまで改善していますね。

グラフとしてみてみると、ここ数年での急激な上昇傾向が目を見張りますね。この背景には国としても男性が育児に参加しやすい制度作りをしていることが挙げられると思います。

ご存知の方も多いと思いますが2022年(令和4年)10月1日から「産後パパ育休」と呼ばれる制度が制定され、以下のように子供が生まれてから8週間以内に4週間分の育休を取得することができるようになりました。

出典: 厚生労働省 育児・介護休業法の改正について

また、企業側の義務として「育休制度の周知」「従業員への育休取得の意向確認」が義務付けられ、大企業(従業員1000人以上)に対しては毎年1回の男性育休取得率の公表が義務となりました。

特に大企業にとっては男性育休取得率を公表しなくてはならないので、会社のイメージアップのためにも男性の育休取得を推奨していく流れに今後はなっていくのではないでしょうか。少なくとも私が働く会社(従業員1000人以上)の雰囲気としては、そういった流れをひしひしと感じています。


どうすれば日本人男性が育休を取りやすくなるのか

前述したように、日本の制度としては男性が育休を取りやすいはずなのですが実態はそうではありません。なぜ日本人男性は育休を取らない、または取りにくいと感じるのでしょうか。

この疑問については様々な会社が調査を行っていましたが、最も信頼性が高いと考えられる厚生労働省の資料から以下をご紹介いたします。

日本人男性が育児休暇を取得しない理由

2018年に三菱UFJリサーチ&コンサルティングがおこなった調査を見ると、男性が育休を取得しなかった理由は「会社に育休制度が整備されていなかった」「収入を減らしたくなかった」「職場の雰囲気がとりにくかった」といった理由が多いという結果でした。

出典: 厚生労働省 男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集

この結果は多くの方のイメージに一致すると思います。社内の雰囲気や収入減などはやはり課題ですよね。そういう意味で言うと政府が「産後パパ育休」などで会社側に様々な義務を与えたことで、男性育休が取りやすくなる雰囲気は改善していくのではないかと思います。


男性が育休を取得しにくい雰囲気の原因とは

「なぜ日本人男性が育休を取得しないのか」という調査は上述したものも含めて複数あり、いずれも社内の雰囲気などを理由としていました。ですが「なぜ男性が育休を取りにくいような雰囲気になってしまうのか」という調査は見当たりませんでした。男性が育休をとりやすい雰囲気を実現するにはどうすべきなのでしょうか。

筆者の実体験を含めた推測になるのですが、日本社会にある「出る杭は打たれる」という風潮が「男性が育休を取りにくい雰囲気」に影響しているのではないかと考えています。この理由は筆者の実体験が関係しています。

実は男性育休を取ろうと思った際に、歳の近い先輩の男性社員5人に「育休を取ったのか」、「なぜ育休を取らなかったのか」を聞きました。

そうすると、皆さん声を揃えて「取りたかったけど、周りに取った人がいなかったからなー」というようなことをおっしゃっていました。皆さんの意識の奥底には「周りと違うことをするのは避けたい」という考えがあるのかなと感じました。こういった「出る杭は打たれる」という雰囲気は、私の会社に限った話ではありません。

2021年に株式会社ヤッホーブルーイングが日本人1,017名を対象に行った調査結果を見ると、76.1%の方が「出る杭は打たれる」という雰囲気が少なくとも1つの集団で感じていると回答しています。対象となる集団は様々でしたが、日本社会全体に対して「出る杭は打たれる」と回答した人は68.6%でした。

出典: ヤッホーブルーイング 日本社会における「出る杭は打たれる」に関する実態調査
出典: ヤッホーブルーイング 日本社会における「出る杭は打たれる」に関する実態調査

このように「出る杭は打たれる」という雰囲気があるからこそ、色々な制度が整っていたとしても「今までそんな制度を使った人はいないから」と制度を利用しない人が多いのだと思います。打たれると分かっていて「出る杭」になりたいと思う人はいないでしょう。(少なからず筆者もそういう気持ちを持っていました。)

男性が育休を取りやすく雰囲気を作る方法

以上を踏まえて、日本社会において男性が育休を取りやすくなる雰囲気を作るには簡単ではないと考えられます。

じゃあどうすればいいのかと言うと、「誰かが最初に勇気をもって育休をとる」しかないと思います。何をそんな当たり前のことを言っているのかと思われると思いますが、実際そうするしかないと筆者は感じました。

会社の年配の方々は「男が育児なんてしなくても子供は育つぞ」「俺は子供が生まれたときに中国へ出張していたぞガッハッハ」と理解しないか、「まぁ、そういう時代だし。しょうがないか」と多少の理解を示してくれる程度という感じでした。

会社のパパ世代の方々は「まぁ周りも育休取っていないししょうがないよね」と理解は示してくれるものの、それだけでした。

会社は利益が最優先です。利益(人材確保や会社のイメージアップ)のために「ダイバーシティ」だの「働きやすい環境」だのアピールしていますが、根本的には休まれるよりは成果を出して欲しいです(会社のこの考えは筆者としては当然だと思うので、会社を責めるつもりは全くありません)

そんなあまり良くない雰囲気ですが、幸いなことに国は男性育休の制度を少しずつ整えてくれています。我々が簡単にできることは、この制度を後ろ盾にとることです。取りづらいと思いながら「こういう権利があるんで」と言って育休を取るしかないのです。我々パパ、プレパパ達が率先して育休をとり、自分たちの集団に模範を示すしかないのです。

そうやって多くの男性が育休をとることで、男性育休が「出る杭」ではなくなっていくはずです。やがて男性育休を取らない人が「出る杭」になっていく時代も来るのかもしれません。

本当は「出る杭は打たれない」こそが日本社会のあるべき姿だと思います。ですが、育児をしながら社会も変えるなんて余裕は少なくとも私にはないと思っています。なので「出る杭は打たれる」社会を暫定的に受け入れつつ、男性育休に対する「出る杭」の意味を変えていくことがまずは必要なのだと筆者は考えています。

(筆者はそういう大義があるんだと自分を信じ込ませて、上司に育休を宣言しました。)


まとめ

  • 日本は男性育休の制度が世界で一番整っている
  • しかし実際に育休を取っている日本人男性は13.97%と少ない。
  • 日本人男性が育休を取らないのは「職場の雰囲気」や「収入減」が理由
  • (筆者の意見)国の制度を後ろ盾として、育休が取りにくい雰囲気に負けずに育休を取るしか解決策はない。そうすることでしか雰囲気は変えられない。

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